波音の回廊
 「清廉……。あとは……頼む」


 「無理です父上。この手を血で汚した私には、支配者になる資格はありません」


 「罪は……、いつの日かきっと償える……。そして……」


 それだけ告げて。


 当主は息絶えた。


 「父上っ!」


 清廉は当主の亡骸にすがりつきながら、しばらく泣いていた。


 私はただ見守っているだけ……。


 ……。


 それからしばらくの間。清廉は父親にすがりついたまま泣き続けた。


 その脇には、七重の亡骸が横たわり。


 こんな異常な状況の下、私は清廉の気持ちが落ち着くのをただ待っていることしかできずにいた。


 その時だった。


 地面がぐらっと揺れた。


 地震……?
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