波音の回廊
 ……私が落ち着いた頃合を見計らって、両親は私が病院に運び込まれた顛末を話してくれた。


 あの月の夜、私は何かに導かれるかのように、海の沖へと向かって歩き出し。


 深みにはまったところで、たまたま通りかかった学生さんに助けられた。


 その学生さんが車で、私を病院まで運んでくれたらしい。


 幸いにも海の水は飲んでいなかったものの、ひどく衰弱していた私は半日間眠り続けたという。


 「たったの半日……?」


 私は釈然としなかった。


 だって少なくとも十日、いや二週間は私は水城島で、清廉と時を過ごしていたはず。


 なのに私が気を失っていたのは、たったの半日?
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