波音の回廊
「この町で、お前と暮らしたい」
明確な言葉を与えられたのは、一緒に時間を共有するようになって以来はじめてのこと。
「私……、この年でもまだ学生だし」
正式に付き合っているわけではないものの、すでにただの友達の関係を越えてしまっているため、一緒に暮らすことに対する抵抗感はないものの。
お互いの環境が、いろいろと制約を生じさせている。
「もちろん来年の春、大学院を卒業してからで」
「仕事どうするの。不景気で札幌ですら就職先が見つからないのに、この町で私の雇用先なんて」
「みつ子さんのところで、非常勤職員募集しているだろ。それに応募しろよ」
「募集は知っているし、あの博物館で働けるのは嬉しいんだけど、残念ながら非常勤だと数年程度しか」
最近は非常勤扱いだと、よくて数年くらいで任期が切れてしまうようだ。
「今はまだお前も水城島のこといろいろ調べたいだろうし、いきなり専業主婦ってのもきついだろ。だから数年間は、博物館で働いてから」
「は? 専業主婦?」
「いずれはこの町でお前と、結婚したいって思ってる」
明確な言葉を与えられたのは、一緒に時間を共有するようになって以来はじめてのこと。
「私……、この年でもまだ学生だし」
正式に付き合っているわけではないものの、すでにただの友達の関係を越えてしまっているため、一緒に暮らすことに対する抵抗感はないものの。
お互いの環境が、いろいろと制約を生じさせている。
「もちろん来年の春、大学院を卒業してからで」
「仕事どうするの。不景気で札幌ですら就職先が見つからないのに、この町で私の雇用先なんて」
「みつ子さんのところで、非常勤職員募集しているだろ。それに応募しろよ」
「募集は知っているし、あの博物館で働けるのは嬉しいんだけど、残念ながら非常勤だと数年程度しか」
最近は非常勤扱いだと、よくて数年くらいで任期が切れてしまうようだ。
「今はまだお前も水城島のこといろいろ調べたいだろうし、いきなり専業主婦ってのもきついだろ。だから数年間は、博物館で働いてから」
「は? 専業主婦?」
「いずれはこの町でお前と、結婚したいって思ってる」