波音の回廊
「とはいえいずれ思い出の中の清廉よりも、そばにいる俺に気持ちが移り始めるんじゃないかって、甘い期待を抱いていたけど」
「清春」
「なのになかなかお前は、清廉を忘れてはくれない。そんなお前に苛立って、時には冷たく振る舞ったりもしたけどな」
……出会ってから、かなりの時間を共にしてきた私たち。
いつしか友達のボーダーラインを越えた仲になっていた。
近づく距離。
その際いつも、瞳の奥に清廉の面影を描いていた。
いや、描こうと努めていた。
そうでもしないと、清廉の面影が消えていきそうで。
忘れ去ってしまうのが怖くて……。
清春から目を逸らしていた。
逃げていたのは、私。
それにあの日、清廉との別れの際。
生まれ変わってまた巡り会おうと誓った時。
巡り会って、今度こそ幸せになることを二人は祈っていたはず。
願いは叶えられ、こうやって無事巡り会えたのに。
前世への思い出に引きずられ、このままだと互いに不幸になってしまう。
「清春」
「なのになかなかお前は、清廉を忘れてはくれない。そんなお前に苛立って、時には冷たく振る舞ったりもしたけどな」
……出会ってから、かなりの時間を共にしてきた私たち。
いつしか友達のボーダーラインを越えた仲になっていた。
近づく距離。
その際いつも、瞳の奥に清廉の面影を描いていた。
いや、描こうと努めていた。
そうでもしないと、清廉の面影が消えていきそうで。
忘れ去ってしまうのが怖くて……。
清春から目を逸らしていた。
逃げていたのは、私。
それにあの日、清廉との別れの際。
生まれ変わってまた巡り会おうと誓った時。
巡り会って、今度こそ幸せになることを二人は祈っていたはず。
願いは叶えられ、こうやって無事巡り会えたのに。
前世への思い出に引きずられ、このままだと互いに不幸になってしまう。