波音の回廊
唇を離し、手を繋ぎながら月を眺めた。
海を中央に照らす満月。
海が中央に割れるのを願ったら、あの夜のようにまた、水城島へと導く回廊が現れるのかもしれないと。
つらい時、寂しい時。
私は幾度となく、月に祈った。
しかしあの後二度と、水城島へと続く回廊は現れなかった。
無理して夜の海へと歩き出し、またしても自殺と間違われて、地域の人たちに迷惑をかけ、両親を心配させたことも。
その騒ぎの後は私も自重し、無理やり夜の海へと歩み出すことはせず。
ひたすら月へと祈るのみだった。
どんなに祈っても、私は二度と水城島にはたどり着けないまま。
いつしか十年の時が流れ、清廉の面影が少しずつ薄れていく。
代わりに色鮮やかに私の記憶を埋め尽くしていくのは、清春の確かな存在。
私はもう、一人で海の道を進んで行こうとは願わない。
代わりに……島と共に海の底に沈んだ清廉の、永久の安らかな眠りを祈った。
海を中央に照らす満月。
海が中央に割れるのを願ったら、あの夜のようにまた、水城島へと導く回廊が現れるのかもしれないと。
つらい時、寂しい時。
私は幾度となく、月に祈った。
しかしあの後二度と、水城島へと続く回廊は現れなかった。
無理して夜の海へと歩き出し、またしても自殺と間違われて、地域の人たちに迷惑をかけ、両親を心配させたことも。
その騒ぎの後は私も自重し、無理やり夜の海へと歩み出すことはせず。
ひたすら月へと祈るのみだった。
どんなに祈っても、私は二度と水城島にはたどり着けないまま。
いつしか十年の時が流れ、清廉の面影が少しずつ薄れていく。
代わりに色鮮やかに私の記憶を埋め尽くしていくのは、清春の確かな存在。
私はもう、一人で海の道を進んで行こうとは願わない。
代わりに……島と共に海の底に沈んだ清廉の、永久の安らかな眠りを祈った。