波音の回廊
 「そうだな。早急に揃えよう」


 そう言って清廉は、急いで部屋を出て行った。


 「全身泥まみれになっちゃって……。清明さまに悪さされたんだろ? 若様が間に合って命拾いしたねあんた」


 召使の女性に伴われ、私は着替えの前に入浴することになった。


 着ていたTシャツとジーンズは、泥と草まみれなので、着替えを用意された。


 この島の女性たちが着ている衣装に。


 それは和服とはちょっと異なり、いつかテレビで見た琉球の伝統衣装にちょっと似ているような気がした。


 その前にお風呂。


 屋敷の一角に、大浴場があった。


 地下から温泉が湧き出ていて、それを利用しているらしい。


 こんな見ず知らずの地で、温泉に入ることになるとは。
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