波音の回廊
 続いて、この島の話。


 昔々、水城家の先祖がこの島を開拓し、発展の礎を築いた。


 その後水城家の当主が、代々この島を支配。


 太平洋側の海上貿易の中継地点として、島は発展した。


 そして現当主である、清廉の父親の代になってから、繁栄は最高潮に達した。


 空前の繁栄。


 島はもはや、一つの独立国として、太平洋上に君臨している。


 これほど栄えていた島が、程なく消えてしまい、跡形もなくなってしまうのは何故……?


 「あの、さっきの」


 「ん?」


 「お兄さんの……」


 「ああ、清明のことか」


 「清明様以外に、他にどなたかご兄弟はいらっしゃるのですか?」


 「いや、兄弟は私と清明、二人きりだ」


 やはり……。


 条件が一致する。


 いずれこの清廉が父母のみならず、兄の清明をも殺害するのだ。
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