波音の回廊
「清廉、待って」
廊下を足早に立ち去る清廉を、私は必死で追いかけた。
「ごめんなさい。私のことが原因で、不愉快な思いをさせてしまって」
「お前が原因じゃない」
ようやく清廉は立ち止まった。
広い庭園の中にある、東屋に二人腰かけた。
「でも……。せっかくの家族団らんの場で……」
「家族団らん? あんな乱痴気騒ぎが?」
清廉は語気を強めた。
「父上は昔から派手好きだったが、最近は目に余る。京の文化にかぶれすぎなんだ。何もかもあの女が来てからだ」
「あの女?」
「父上の隣に、派手な女がいただろう? あいつだ」
「隣に……」
「父上はあの女、七重を娶ってから……」
「ではあの人は、清廉の母上なの? 母上を呼び捨てなんて」
「あの女は私の母親なんかじゃない。父上のただの再婚相手にすぎない」
廊下を足早に立ち去る清廉を、私は必死で追いかけた。
「ごめんなさい。私のことが原因で、不愉快な思いをさせてしまって」
「お前が原因じゃない」
ようやく清廉は立ち止まった。
広い庭園の中にある、東屋に二人腰かけた。
「でも……。せっかくの家族団らんの場で……」
「家族団らん? あんな乱痴気騒ぎが?」
清廉は語気を強めた。
「父上は昔から派手好きだったが、最近は目に余る。京の文化にかぶれすぎなんだ。何もかもあの女が来てからだ」
「あの女?」
「父上の隣に、派手な女がいただろう? あいつだ」
「隣に……」
「父上はあの女、七重を娶ってから……」
「ではあの人は、清廉の母上なの? 母上を呼び捨てなんて」
「あの女は私の母親なんかじゃない。父上のただの再婚相手にすぎない」