波音の回廊
 「再婚……」


 道理で。


 先ほど清廉の父親の隣にいた、清廉の義理の母上は、どう見ても30前後の若さだった。


 清廉の母親にしては若すぎるな、と思った。


 再婚相手、そういうことだったのか。


 「私は早くに母を亡くして、その後側室だった清明の母親に育てられた。いい人だったんだけど、彼女も十年ちょっと前に亡くなった。それからあの女が入り込んで来たんだ……」


 清廉の話は、以下のような内容だった。


 清廉の母、やがて清明の母も亡くなって、父である当主は妻を全て失ってしまった。


 そんなある日、この水城島の港に、難破船が漂着した。


 京の都から十三湊(とさみなと;現在の青森県五所川原市)へと向かっていた船が嵐に遭い、難破。


 何とか沈没を免れ、水城島の港に流れついた。
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