波音の回廊
 まるで古代ローマみたい。


 私はふと思った。


 古代ローマでも、市民たちは権力者に振る舞われるパンやワインで腹を満たし。


 コロシアムで日々、戦車競争や剣闘士たちの出し物を堪能し。


 暇な午後は、公衆浴場でのんびり過ごしたという。


 重労働は、周辺諸国から集められた奴隷たち任せで。


 穀物生産は、属国からの輸入に頼り切っていた。


 その結果。


 古代ローマの繁栄は、長い歴史の中からするとほんの一瞬のものだった。


 (神への感謝を忘れ、堕落した者たちは必ず滅びる……)


 どこかからそんな声が聞こえてくる。


 このまま自堕落な生活を続ければ、水城島の人々は……?
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