【完】1日遅れのクリスマス
「―…ほんとは間に合うはずだったんだ」
「うん……」
「だけど、急に午後にシフト入れてた奴が来れなくなって…俺が入ることになったんだ」
ポリポリと頬をかきながら光輝がそう言った言葉に私は驚いた。
「え……」
てことは、ずっとバイトしてたってこと!?
「それで、6時頃に終わったから急いでジュエリーショップに行って、指輪受け取ったまでは良かったんだけど……」
あ……嫌な予感がする。
「ま…まさか」
私がそう言うと、光輝はコクンと頷いた。
「――…俺の乗る公共の乗り物がことごとく遅延して……」
「………!!」
ああ…、やっぱり。
「……ほんと、運がないね」
そういえば、そうだった。
―――すっかり忘れていた。
光輝が大切な時に限って運がないのを……
「はは…、ほんとつくづくついてねぇ。こんな自分を呪いたくなるよ……」
「ハ、ハハハ………」
苦笑いをしながら私は、光輝の手を握りしめた。
「でも…来てくれた。クリスマスは過ぎちゃったけど……ちゃんと来てくれた」
私は、ゆっくりと光輝の顔を真っ直ぐ見据え
「―…ありがとう」
そう言って私から光輝にキスをした。