【完】1日遅れのクリスマス
ドタドタドタッと上がり込んでくる足音。
ドンドンとこっちに近づいてくる。
とっさに奈南から離れようと顔を向けると、なぜか奈南は目に涙を浮かべていた。
「は……!?」
突然のことに戸惑う。
「お、おい。何で泣いて……」
「おっはよー!光輝ーー、起きてるぅーー?」
何で泣いてるのか、聞こうとした俺の声はさっきと同じばかでかい声に遮られた。
キッと声の主を睨み上げる。
いきなり開いた廊下とリビングつなぐ扉から姿を現したのは、ベージュのロングコートを着たボブヘアーの女。
その姿に俺は頭をかかえる。
こいつ、何でここに来た。
声どころかその姿でさえ見覚えがある。
最悪。 朝っぱらかなんでこいつの顔見なきゃ行けねぇんだ。
顔をひきつらせながら、俺はその姿を見上げた。
そいつは俺に気付くと、一瞬固まって奈南に目を落とす。
あ、ヤバイ。
今の状況にハッとなって、奈南の服から手を抜いて体を離す。
だけど、
遅かったのか、そいつは血相を変えて俺に近寄ってきて、
―――…パンッ!!
俺の頬を思いっきり叩いてきた。