【完】1日遅れのクリスマス
「どうしたんだよ…なんで泣いて…」
背中を擦りながら私の顔を覗き込む光輝。
その手がすごくあたたかくて、安心からか、私の涙腺はさらにゆるむ。
「光…輝ぃ……っ」
ギュッと抱きつく。
光輝は驚きつつも、抱き返して
「……っおい!お前、奈南になにしたんだよ!」
何を思ったのか、いきなり女の人を怒鳴り付けた。
女の人は「はあ!?」と眉間にシワを寄せて「なにいってんのよ」と光輝に言い返す。
そして、なぜか言い争いが始まり。
「とぼけんじゃねえ! お前が何かしたから、奈南が泣いてんじゃねーか」
「だから、私はなにもしてないわよ!! あんたの方はどうなのよ。 あんたが何かしたんじゃないの?浮気とか」
「はっ…!?んなこと、するわけねえーだろ!!?」
「どうだか。 光輝は天然タラシだもん。気付かないうちに、思わせ振りなことして奈南ちゃん傷付けてんじゃないの?」
「俺は天然タラシじゃねえ!ふざけんな!」
「あーはいはい。無自覚とか一番ないわ。最低」
「だから……っ」
光輝を無視して女の人は私の前へと腰を屈める。
髪を耳にかけながら、「ごめんね?うるさくて」と眉を下げなからそう言った女の人に、私は目をパチクリとさせた。
二人のやり取りに、
涙なんていつの間にかとまってて。