Cherish!!
「離してよ、やっと」
「楓、お前何考えてんだ!?」
「離してよ!!」
「楓?」
「やっと見つけたのよ!!… 『見つけたのよ、浩二郎様を』」

「何言ってんだ?」

『早く止めなくちゃ!!浩二郎様が、死んでしまう!』
「…椛、さん!?」

楓は心の方を振り向いた。

「楓、じゃないのか?」
『…浩二郎様? 浩二郎様なの?』
「え、いや俺は」

楓は心に飛び付いてきた。

『浩二郎様!!』

楓の細い腕が、心の体をめいいっぱい抱きしめていた。

心は声が出ない。
姿はそのままなのに、どうやら今は椛になっている楓に触れる事もできず、ただドキドキする自分に戸惑っていた。


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