Cherish!!
ひんやりとした空気が、図書室の中に漂っていた。

「…郁、何か飲む?」
「ありがとう、早紀」

郁生は微笑んでジュースを受け取った。

…ずっと変わらない笑顔、変わらない態度。

さっき楓にキスをした郁が、私の目の前に…

早紀は目をそらした。
やっぱりまともに見れない。
二人きりの時間はとても嬉しいはずなのに、今は息苦しい。


「早紀?」
「!」

いつの間にか郁生が間近に来ていた。

「大丈夫かい? さっき寒いって言ってたんだろ?」
「だ、大丈夫よ。なんともない」
「無理しないで、早紀も少し休んだらいいんじゃないか?」


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