プロポーズ
「どうしてそう思うの?」

僕は震える朝海の手を両手で優しく握りしめた。
そして、そのまま果物ナイフを自分の喉にあてがえだ。

「昊くん!」

朝海は涙を溜めながら叫んだ。
僕は手を止めた。
このまま、死んだっていい。
朝海が少しでも安心するなら。

「ありがと、昊くん。」

朝海は久しぶりに笑顔を見せた。

「私、待ってるね。」

僕はナイフを下ろし、朝海を抱きしめた。
強く強く抱きしめた。
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