君を抱きしめたい
恋人とペアイルカと書かれたポップ。
それはたくさんの柄のイルカのストラップで
女子達は「彼氏とお揃い?」なんて騒ぎながら見ていた。
僕は姉ちゃんの彼氏でもないけど…
なんとなく言い訳をしながら渡すのもいいかもしれない。
姉ちゃん、可愛い物好きだしな。
なんて自分にも言い訳をしながら
手にしたストラップ。
少しだけ気恥ずかしいけれど
それを手に家に帰った。
姉ちゃんの帰りはまだかまだかと
そわそわしながらカーテンの閉まってる君の部屋をなんども意識して
もしかしたらホワイトデーだから誰か男にデートに誘われてんじゃないかって
めちゃめちゃ、気分が落ち着かない。
落ち着かないから
とりあえず最初に奈々んちにいく事にした。