君を抱きしめたい
コンビニに立ち寄り家に帰る途中
白いセダンの車が僕の横に停まって
助手席の窓が空いた。
中を覗くと運転席に姉ちゃん1人。
「学校帰り?送るから乗りなよ」
「いいよ。別に」
徒歩で歩いたって15分の道のり。
僕は少しムッと思いながらそっぽを向いた。
「なんだー?反抗期かー?」
僕をからかう姉ちゃんの声。
僕が嫌なのは姉ちゃんと帰る事じゃない。
好きな女に運転してもらって家に送られる事がプライドを傷つける。
「姉ちゃんは?外回りかなんか?」
「ううん。今日はもう上がりだったんだけど…。
なんかドライブに行きたくなっちゃった。1人じゃ淋しいから付き合ってよ」
好きな女に淋しいと言われると断る事もできずに僕はしぶしぶ助手席に乗り込んだ。
「どっか行きたいとこある?」
「姉ちゃんに任せるよ」
姉ちゃんは、そう?とだけ言うと車を走らせた。