君を抱きしめたい
タカが気を使ったつもりだろうか
奈々の友達を連れて僕たち2人を残してどこかに行ってしまった。
いや、気を使ったんじゃないな。
あいつはあいつでよろしくやるためにわざと離れたんだろう…。
2人きりになった動物園のベンチに奈々と並んで座る。
「清春君…今日…つまらなかった?」
「そんなことないよ」
「そう?」
そういえば奈々が俺をキヨと呼ばずに
名前に君付けで呼ぶようになったのは、いつからだろう…。
「私ね…
中学の、時に清春君に彼女ができた時すごいショックだったんだ」
「えっ…?」
「その時、初めて自分の気持ちに気づいたの…
ああ、あたし清春君の事が好きだったんだって」
懐かしむようにどこか淋しげに、ゆっくり話す奈々の言葉を聞いていくうちに
僕も思い出していた。
初めて
まどか姉ちゃんを女として意識したあの日を…