君を抱きしめたい
だから決めたんだ。
今は無理でも
姉ちゃんと同じ土俵に立てた時
同じ目線になった時
必ず
気持ちを伝えるって
だから
「だから…ごめん。
好きな人がいるんだ」
奈々は俯いて
すぐに笑って見せた。
「知ってるよ」
「えっ…?」
「お隣のお姉さんでしょ?」
「なんで…?」
「だって小さい頃から一緒にいるんだもん。分かるよ。
あのお姉さんを見てる時の清春君の目
キラキラだもん」
「はっ⁈じゃあなんで告白なんかっ…」
「いいじゃない?
あたしだって少しの期待に賭けてみたって。
いいじゃない?
気持ちを伝えずに後悔したりしたくなかったし…」
何も言えずに俯いた僕と、スクッと立ち上がった奈々。
「あのお姉さんにとられる前に勇気だしてチョコあげたんだ。
見事、玉砕だったけどね。
清春君も当たって砕けたんでしょ?」
「まだ…砕けてないし」
そう言った僕に、奈々は少しの沈黙のあと「挑戦もしなかったの?」と聞いて来た。
僕はその意味がわからず
ただ
奈々を見上げた。