君を抱きしめたい

嘘だ…

嘘だ…


嘘だ嘘だ…

だって

今朝、出かける前まではいつも通り

姉ちゃんの部屋の窓は

カーテンで閉じられていたのに

この数時間で

姉ちゃんの物、全部が消えてしまえるわけなんてない…。


座り込んだまま

身動きすら取れない。


ただ

知らずうちに

部屋のカーペットが滲んでいく。



伝えられない思いと


何も言わずに消えてしまった君を

心底、ひどい奴だなんて思うのに

もしかしたら僕の知らないどこかで

また

泣いているのかもしれないと思うと

抱きしめたくて

抱きしめたくて

堪らなくなる。

1ヶ月前に

泣いてる彼女を

ただ

ぼんやりながめていた。


そんな事を今更後悔しながら


僕はただ

泣いた。



久しぶりに

声をあげて…。

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