Sweet Lover
「でも、アイツ、全然日本に来なくってさー。どれだけ騒がれても、日本のテレビには出演しなかったな。
映画の宣伝でチラっと出るくらいで。それで、マスコミも面白くないのかお高く留まってるとかなんとかけなし始めて、ブーム自体はあっという間に過ぎ去っていった気がするわー」

梨音って、芸能ニュースにこんなに詳しかったっけ?

「で、なんで、アイツの名前が急に出てくるワケ?」

「ななななな、なんでもないっ」

うろたえる私を見て、梨音は事件解決時の探偵のようにびしりと私を指さした。

「それはあれね。
 真朝に記憶が戻ったか、本人が戻ってきたかのどっちかってとこでしょ」

「……!!」

反応出来ずに、まっすぐに梨音を見返す。

「長い付き合いだもん、真朝と私」

梨音がぽんと私の肩を叩く。

「なんで――」

そこでチャイムが鳴って先生が入ってきた。
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