Sweet Lover
授業が始まったけれど、正直私はそれどころじゃない。

梨音と私って、いつから友達だっけ。
ゆっくり記憶を辿る。



『まあさちゃんっ。
 今日、りおんの家に遊びに来てよ』

脳裏に過ぎる声は、舌足らずの幼児のものだ。

『えー、今日は無理ー』

答える私は、紺の服を着ているように思える。
……これって……。

幼稚園児の制服、みたい。

『どうして?』

『だって……』

途端、ズキンと頭の後ろに耐え切れないような痛みが走った。

うめきそうになって、咄嗟に唇を手で覆う。
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