Sweet Lover
「あの頃は両手に乗るくらいのサイズだったのに、いまや両腕で抱えるまでに成長したとは」

「……抱えたのか?」

「当たり前だろう?
 それとも、リノリウムの床にばたんと倒したほうが良かったっていうの?」

「リノリウム?
 廊下に居たのか」

響哉さんの声が心配そうに響く。

「そう。俺が、煙草を吸いに屋上に向かっている途中で、偶然にもふらふらと歩いている真朝ちゃんをゲットしたってわけ。
これはもう、あれだろ?
お前から夕飯を奢ってもらうに値する行為だよな」

「……何で倒れたんだ?」
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