Sweet Lover
「……何すんのよ、大丈夫なんだから……っ」

威勢よく言ってみたつもりが、震えていて言葉にならない。

初めて男の圧倒的な力を見せ付けられて、怖かったんだ。

「大丈夫。
 笑わないから、好きなだけ泣けばいい。マーサちゃん」


低く、優しい声に屈して、涙を零してしまった私をどうか責めないでもらいたい。

ようやく泣き止んだ私の頭を、須藤さんはぽんぽんと撫でるように叩いた。

その絶妙な力加減が、泣き終わった後の頭に、何故か心地良くて逃げ出すことを忘れてしまう。
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