Sweet Lover
「ねぇ、うちの理事長って誰だっけ?」

体育の時間、一緒に組むことになった佳代ちゃんにこっそり聞いてみる。

佳代ちゃんは思いっきり目を丸くした。

「何言ってんの?」

それから、ふわっと相好を崩す。

「ああ、もしかして真朝ちゃんってうちのグループの人じゃなかったりするのかしら」

……はい?
『うちのグループ』って、何?

「ここってほら、須藤グループの傘下にある私立高校なのよ。だから、親が傘下の会社に勤めている……って子が大半なの。
 だから、理事長は須藤会長に決まってるわ」

須藤会長……?

当然のようにそう語る佳代ちゃんの言葉を聞きながら、私はくらりと、立ちくらみにも似た眩暈を覚えた。
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