Sweet Lover
「危ないっ」

あまりにもボーっと考え込みすぎていて、誰かの声に気づいたときには遅かった。

軌道を大幅に反れたバレーボールが私の顔に直撃。

たらりと鼻から流れる液体が鼻血だと気づく前に、体育教師に保健室に向かうよう指示されていた。


「……漫画みたいなヤツだな」

くらりとする頭を抱えながら保健室に行った私。
白い体操服には、血痕までついている。

佐伯先生は呆れ顔で言った。

私は無言で、渡されたタオルを鼻に当てる。

「元から鈍いの? それとも恋人との熱い夜を満喫して、睡眠不足ってヤツ?」

軽口を聞き流してベッドに座った。
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