Sweet Lover
「誰が何を秘密にしてるって?」

ドアが開いたと思った途端、耳慣れた声が聞こえてきた。
顔を見るまでもなく、響哉さんだと分かって、心臓が今までよりはるかに早く動き始める。

……まずい。
  鼻血止まらなくなったらどうしよう。


ほとんど同時に、先生が疲れたようにため息を吐いた。

「特技が瞬間移動だったとは」

「お前よりずっと、平田の方が俺に忠実だってだけの話」

響哉さんも負けないくらい冷たく言う。

平田っていうのは体育教師の名前で……。
平田先生がわざわざ響哉さんに連絡してくれたってことなのかしら。

「治療の途中で連絡出来るか」

佐伯先生は苦々しく言葉を吐く。
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