Sweet Lover
「不思議なんだけどね、マーサ。
 マーサと同い年なのに、梨音ちゃんのことはいつまでたっても小さな子供にしか見えないんだ。
 例えば、そう。
 ペギーが号泣していたら、つい抱きしめたくなってしまう。
 そういう衝動にかられて――」

本当に、ゴメン、と。

響哉さんが搾り出すように呟いた。

車は、マンションの駐車場に着く。
 
「じゃあ、本当は私のことも小さな子供のままなんじゃ――」

言った途端。
響哉さんは運転席から手を伸ばし、そう広くは無い車内で私を無理矢理抱きしめた。

「それは違うよ、マーサ。
 許されるなら、今すぐにでも全部攫ってしまいたいくらい、本気で愛してる」

真剣な声が、耳元で響く。
< 347 / 746 >

この作品をシェア

pagetop