Sweet Lover
「今日、保健室での話だってまだ途中のままだし――。
 そうだ、マーサが見たがっていた映画も手に入れた。
 どれから話そうか?」

「映画」

そう。
動くママが見たい。

そして――。
私の記憶にある、二人のキスシーンがそれと同じかどうかも確かめたかった。

……でも。

記憶の中のママはもう、だいぶ風化していて。
それを、改めてみるのが怖くもある。

「ねぇ、響哉さん」

私は思い切って響哉さんを見上げた。
形の良い瞳が、真っ直ぐに私を見つめている。

「私、ママとパパのどっちに似てる?」
< 350 / 746 >

この作品をシェア

pagetop