Sweet Lover
「……でも、本当は私の婚約者で居るのは、響哉さんが実家を継がないための口実、なんじゃないの……?」

いくらなんでも、20歳も年下の3歳の子に、そこまで惚れるなんてこと、ありえない。
そんな都合の良すぎる御伽噺(おとぎばなし)を簡単に信じてしまうような、子供じゃないし、私。

響哉さんが梨音を抱きしめているのを見ただけで、胸が張り裂けそうに痛くなっちゃうんだもの。


振られるなら、今がいい。
これ以上先に進んだら、私……。

本気で別れたくなくなっちゃう。

今ならまだ、パパとママのお友達として響哉さんのことが見れるから――。

響哉さんは少しだけ、困った顔で私を見て、ゆっくりと髪の毛から手を離した。
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