Sweet Lover
「……それが、あまりにも嬉しかったから。
 私の願いを叶えようって思ったの?」

半信半疑で、そう聞いてみる。

響哉さんは相好を崩す。
この、どこまでも蕩けてしまいそうな甘い笑顔にも、すっかり見慣れてしまって。

……それでも、この笑顔を見るたびに胸がトキメク。

「半分は、そうだな――。
 家からも逃げたかったし、言い寄ってくる面倒な女の子たちからも逃げたかったよ。
 確かに、マーサの言うとおり。
 でも、だからって、当時3歳の女の子なら誰でも良いってわけじゃなかったのは本当だよ」

響哉さんは真っ直ぐな目でそう言った。

「光源氏を真似て、俺好みの子に育てるっていうのにも興味がなかったわけじゃないし――」
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