Sweet Lover
「俺と結婚したら巨万の富が手に入る、なんていう妄想を抱いている奴らがいるんだ――」

困ったもんだよね、と。
響哉さんは、傷ついた顔で薄っすら笑う。

「そういう奴らは、俺が自分以外の誰かと仲良くなることが許せなくて――。
 単純に、そういう人を消してしまえば、自分のチャンスが増えるという妄想を抱くのさ」

最低、と。
響哉さんは汚いものを吐き捨てるように言った。

だから――。
だから、響哉さんは人と距離をとり続けているの?

彼の心に巣食う闇の断片を目の当たりにして、眩暈を覚えた。
< 357 / 746 >

この作品をシェア

pagetop