Sweet Lover
私はそれさえも記憶に無い。
パパとママが事故で死んで、私は一人生き残って――。

それから数日はぼうっとしていたように思う。
たくさんの人からのお悔やみの言葉なんて、ちっとも胸に響かなくて――。

「それでも、その状況で拒絶しないのが奇跡だって――。
同席した頼太が言ってくれたのが、救いだったけどね」

私は響哉さんの胸に顔を埋めた。

「傍に居られないなら、二人の関係はなくなったと周りに思わせたほうがいい――。
 だから俺は、梨音ちゃんに出来ればマーサの様子を見てほしいと頼んだし、出来るだけ信頼の置ける人間をマーサの通う学校に置くようにもしたし――。
 でも、自分は一切表に顔を出さないことに決めたんだ」
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