Sweet Lover
響哉さんは私の手から電話を取る。

そして、ピザとサラダ、チキンという二人で食べ切れそうな真っ当な量のオーダーをした。

「響哉さん、顔が見えないよ?」

背中越しに抱きしめられたままの私は、解放を強請(ねだ)る。

「それは、俺のハートをかっさらったマーサが、いけない子だからだよ」

響哉さんの声は、低く、甘く、そして、いつもよりずっと艶っぽい。

……ハートをかっさらう?

日常では耳にしないような恥ずかしい言い回しに、私は思わず頬が赤らむ。

そういえば、メルヘン界の住人って佐伯先生にも言われてたっけ、響哉さん。
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