Sweet Lover
響哉さんの手が、私の頭を撫でる。

私は不意に違和感を感じた。

ああ、そうなんだ。

いつもよりずっと、響哉さんの鼓動が速くなっている――。

「……響哉、さん……?」

「ごめん、苦しいよね」

響哉さんは少しだけ手を緩めてくれた。

「もうちょっと待って。
 ……俺が落ち着くまで」

「落ち着くって……?」

どうしたの、響哉さん? と。
心配になった腕の中でくるりと向きを変え、彼の顔を見上げる。

途端――。
響哉さんの指先は滑らかに私の顎を捉えた。
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