Sweet Lover
「ああ、今日は何もしないからあんまり考えないで。
 また、鼻血出ちゃうよ?」

響哉さんは手際よく私の髪を乾かすと、私を広いベッドに置いたまま、額にキスを落とすと、お風呂に行った。

「先に寝ておいて」

と、言い残して。


私は、響哉さんの唇が触れた額に触って、ドキドキしていた。

もう、キスに対する怖い思いはすっかり消え失せていて、この心臓の高鳴りは恋する女の子のものでしかない。

……どうしよう。

今更、改めて「好き」なんて告白するの、変だよね……。


それに、映画を見て心奪われたなんて、それじゃただのミーハーなファンと代わりないじゃない……。

恋愛初心者の私の心の中に、様々な想いが去来して、とても寝付けそうにない。
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