Sweet Lover
「やっぱり先生は、須藤響哉と昔からのお知り合いなんですね」

梨音は先生が私のことを『真朝ちゃん』と呼んだのを聞きとがめてそう言った。

「うんざりするほど、昔からね。
 もちろん、真朝ちゃんのことだって、生まれる前から知ってるよ」

梨音に対して装うのが面倒くさくなったのだろう。先生はあっさり認めた。

「だから、ついつい父親目線になっちゃうんだろうなー」

「あら、生まれる前から知っていても、恋人になれる人も居るみたいですよ?」

「……アイツみたいなビョーキは抱えてないよ、今のところ」

とりあえず、響哉さんのことを貶(けな)すときだけは、二人の息はぴったり合うみたい。

半ば当事者である私は、口も挟めず、そのやり取りを眺めるほかない。
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