Sweet Lover
「マーサは、なんて?」

頼太が俺の発言に驚かないということは、真朝が何か言ったに違いなかった。

「悩んでたぜ」

……そうだよな。
  急にアメリカで暮らそうなんて言われて、簡単に喜ぶ人なんて、そうは居ないだろう。

「将来の仕事について、具体的なビジョンを抱いてないのはクラスで自分だけだろうかってことに」

「……は?」

思いがけない発言に、俺は思わず珈琲を噴出すところだった。

が、頼太は至極真面目な顔をしている。

「誰も彼もが16歳かそこらで、将来なりたい仕事を決めてるわけじゃないってこと」
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