Sweet Lover
「だから、相当の時間や設備が惜しげもなく使えた。
 それに、メンバーのカメラマンの中にやたらとファンタジー系が得意なヤツと、時事系が得意なヤツがいたからね。
 最初はそれを完璧に二班に分けて、まるで別々の映画でも撮るかのように撮影させたのさ。
 そうして途中から、二つの班をあわせていく。
 ――ね、そんなに難しいことじゃないし、逆に言えばプロで映画を撮るなら、そういう手法は使えないだろ?
 学生ならではの撮影方法で最善を尽くしたまでさ」

先生は何でもないことのようにさらりと、ネタを明かしてくれた。

「……でも」

それは、立場を最大に活かした手法をいくらでも思いつくということでもあって……。

映画監督を目指さなかった理由にはならない。
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