Sweet Lover
「それに、あの映画の完成には真朝ちゃんも大きく寄与してくれているしね」

「……私が?」

「そう。
 朝香ちゃんの妊娠が、あの作品には大きく効いている」

「でも、それを効果的に見せるような脚本を書いたのは――」

「俺って言いたいところだけど、脚本は共作。
 今、脚本家やってるヤツが当時、うちのメンバーの中にいてね。
 大枠は俺と響哉とで考えたけど、細かい部分はそいつに任せた」

上手いこと全てが組み合わさってできた幻の一作ってとこかな、と。

先生は謙遜ともとれるような発言をしてから、短くなった煙草を灰皿に押し付けた。
< 448 / 746 >

この作品をシェア

pagetop