Sweet Lover
「その潤沢な資金元は、やっぱり須藤家なんですか?」

いつの間にか、私の興味はあの映画の作成秘話に移っていた。

「まさか」

にこりと先生が笑う。

「響哉が映画に興味があるなんてこと、じいさんの耳に触れただけで面倒なことが起きるに決まってるじゃない。
 だから、出来るだけコネは使わない方針で。
 何かの時には俺の名前を出すように心がけていた。
 本家でなければ気楽なものさ」

「じゃあ、資金集めも先生が?」

「真朝ちゃん、インタビュアーの素質があるんじゃない?」

興味の尽きない私に向かって、先生が肩を竦めて見せる。
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