Sweet Lover
「ほら、やっぱり我が侭で横暴――」

先生がぼやくのも聞かずに、響哉さんが不意にぎゅうっと私をその胸に抱き寄せた。

「……キョウ……っ」

驚きのあまり、瞳を閉じることさえできなくて、私はただ抱きしめられるに任せることしか出来ない。

「一緒にアメリカに来てくれるんだね、マーサ。
 嬉しいよ」

抑えた声からは、それでも歓喜の気持ちが滲み出ている。

「……俺の前でいちゃつくなって、何度言わせるつもりなんだよ……。出て行けっ」
 
先生は呆れ気味に言葉を投げてから、私に向かってにこりと笑った。

「心配しなくても、月曜日にはいつものように迎えに行くよ」
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