Sweet Lover
「ありがとうございます。
 
 でも、そろそろ一人で通学してもいいかなって――」

「マーサ」

響哉さんの困った声で私の名を呼ぶのと、

「それはダメだ」

先生がきっぱり言い切ったのはほぼ同時だった。

「どうして?」

私は響哉さんの腕を振りほどいて二人に聞く。

「私、先週までは自分で学校に通ってたのよ」

「それは知ってる。
 でも、今は駄目だ。
 少なくとも、あの記者には響哉との関係を勘付かれているんだろう?
 また絡まれたらどうするつもり?」

「……だから、駄目なんですか?」

教えてくれた先生に問い返した声は、僅かに震えていた。
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