Sweet Lover
「そんなに辛い?」

響哉さんが心配そうに私に聞いてくる。

「……ううん。
 そうじゃないの」

私は首を横に振ってから言葉を続ける。

「そうじゃなくて、ただ――。
急な変動に頭がついていかないだけ。
今までは、一人で何でもやっていかなきゃ。私には、パパもママも居ないんだしって。
心のどこかで思ってたし」

もちろん、義理の両親はよくしてくれたけれど。
甘えてはいけないと、自分に言い聞かせ続けているところがあったのは、事実。

響哉さんが現れてから、急に私は過保護なまでに守られるようになった。
今日まで、考えもせずに流されるように甘えてきたけれど――。
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