Sweet Lover
それから、ふと思い出したかのように言葉を続ける。

「そういえばさっき、社長はどうして私に電話をかけてきたんですか?」

響哉さんは、その質問を黙殺すると唇を開いた。

「販売に関することは、メーカーと映画会社に任せればいい。
 うちの管轄外だ」

「分かってるんですけど、問い合わせの電話がうちの事務所にも殺到してるんです。
 畑田(ハタダ)が一人で捌けないって泣きついてきたから――。
 なんとか出来ないかと思って、四苦八苦してたところに社長からの電話があったんで、つい――」

「とにかく、それはメーカーに泣きつけ。
 電話も全て、メーカーに回せ。なんだったら、事務所の電話を留守電に切り替えておけばすむ話だろう。
 それとも、俺が事務員を調達してこようか?」


最後の一言は、きっと皮肉。
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