Sweet Lover
「……な、に、言ってんの?」

私が焦って立ち上がるのと、

「そうなんですか?」

と、春花さんが好奇心に満ちた瞳を見せて口を開くのはほぼ同時だった。

響哉さんは私の手を掴んでから、春花さんを見る。

「ああ。
 普段はとても良い子でお風呂に入るのに、俺が遊びに行くと俺から引き離されるのが淋しくて仕方が無いんだろうね。
 いつも泣いてぐずるんだ」

――えーっと。
  それは私が物心つく前のお話、ですよね?

恥ずかしくて、手を振り払おうとすると、響哉さんは立ち上がって私を抱き寄せる。

「いいからっ。
 赤ちゃんの時のことは覚えてないけど、今は自分でお風呂に入れるもんっ」
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