Sweet Lover
「……私が、抱きついたんですか?」

ドキドキしながら尋ねると、一瞬視線を逸らして、それからふわりと私の頭を撫でた。

「違ったかな?
 俺も寝惚けていたから、記憶が定かじゃない。
 ……もしかして、寝苦しかった?」

「ううん、そうじゃないけど」

そうじゃないけど、えっと。
出逢ったばかりの男女が同じベッドで抱き合って寝るなんて、その。

良くないんじゃぁ……。

なんていいたい私のことなんてお構いなしに、相好を崩す響哉さん。

「良かった。
 マーサちゃんが夢にうなされないのが一番だから。
 ね? 毎晩こうして寝てあげる」

「えええーっ?」

あまりにも当然のようにきっぱり断言するので、私は素っ頓狂な声をあげてしまう。
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