Sweet Lover
私は、記憶を辿る。
後頭部に走る痛みを無視して。

うちのマンションを出ようとしたときに、後ろから襲われた――。

あのマンションだって、セキュリティはしっかりしているはず。

だったら、もしかして、ヘンリーさんのような『須藤家の関係者』?

もちろん、どうして須藤家の人がこんな乱暴なことをするのかなんて全く分からない。


それとも、その直前に玄関で出会ったカレンさん?

帰ると見せかけて私を攫った――?
「ゲンチヅマ」と言ったのさえも、私を油断させる罠だったってことかしら?


あるいは――
昨日、私たちを追跡していた謎の人物の仕業?

でも、彼らのことは罠にかけたってヘンリーさんは言っていたけれど。
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