Sweet Lover
マンションの玄関で、とある痕跡を見つけた頼太は、念のためヘンリーにも連絡を取ったという。

なにせ、それなりにセキュリティーの厳しいマンションだ。
部外者が簡単に入れる場所じゃない。

「で、今から互いに調べたことを持ち寄って、ミーティングに入るとこ。
 ……どうする?」

俺はぐっと唇を噛んだ。

車は、次の目的地に到着するところだ。

「また後で連絡する」

俺は、心を決めてぎゅっと瞳を閉じるとそう告げて電話を切った。

情けないことに、眉間の皺を、元に戻すことさえ出来ない。

脳裏に浮かぶのは、四六時中抱きしめていたいほど愛らしい、彼女の屈託の無い笑顔。
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